連続講座:葛川で出会う鳥

ゲンコミ生涯学習連続講座
2022年11月19日(土)10:00-12:00 町民センター2Aクラブ室

「葛川で出合う野鳥」
  二宮野鳥の会 斎木 邦弘 氏

ゲンコミ連続講座…今回は葛川で出合う野鳥がテーマでした。二宮野鳥の会の斎木先生が30年の長きにわたる観察記録を紹介してくださいました。

斎木先生の観察フィールドは大きく三つ。①葛川上流の中井湿性公園、②吾妻山、葛川沿い、③二宮海岸、中村川下流域であるとのこと。1994年以降、葛川で観察された野鳥は33科85種であった。それらは留鳥、漂鳥、夏鳥、冬鳥、旅鳥、外来種に分類される。しかし、近年は観察される野鳥の数が減ってきたとのこと。2021年10月から11月末までで観察された種別は留鳥25種、冬鳥4種(マガモ、コガモ、ジョウビタキ、ツグミ)、漂鳥ゼロ、旅鳥1種(タシギ)、外来種3種の合計33種であった。これらはその6年前の観察記録よりも5種少ない結果であったことをご紹介くださいました。

野鳥が減った原因は、地球温暖化にともなう気候変動の影響を受けて急速に進む生物多様性の劣化であると斎木先生は考えているとのこと。その影響は、地球規模の大きな問題ではあるものの、その影響は身近に迫る問題でもあるということを教えてくださいました。長年にわたる斎木先生の観察記録は、一羽の野鳥の美しい姿や特徴の紹介にとどまらず、その生態系が変化している様子を的確にとらえ、身近に迫る地球温暖化への課題意識に至る壮大な講義でした。

講演終了後、会場からの質疑応答にも丁寧に回答し、みなさんの関心の高さと斎木先生の熱心さが相まって、満足度の高い講座であったと感じました。受講された方のかなにはご自分で撮影された写真を持参されたかたもいらっしゃって、講演終了後、受講者同心の親睦がおおいに深まるシーンもありました。斎木先生が繰り出す野鳥の写真と語り、そこからあふれ出す地球規模の問題への課題意識に感化され、大いに生涯学習の意義を感じることができた講座でした。